15c プレ大航海時代 トラジャ渡りインド更紗

製作地(推定) インド北西部 グジャラート州  
製作年代(推定) 15世紀
渡来地・使用地 インドネシア・スラウェシ島 トラジャ地方
素材/技法 木綿、天然染料 / 型染め(木版捺染?)、媒染、防染
サイズ 65cm×58cm

ヨーロッパ諸国による地球規模での海洋交易が行われる以前の、14~15世紀に遡る時代に製作されたインド更紗がインドネシア・スラウェシ島トラジャ地方から見出されます。

イスラーム商人・アルメニア商人等が稀少な香辛料・香料を入手するための代価としてトラジャ地方にもたらしたと考察されるもので、”プレ大航海時代の交易インド更紗”と分類されるものです。

この種のインド更紗が放射性炭素年代測定により14-15c作と比定されたのは最近ですが、初期トラジャ渡りインド更紗の特徴として、①製作地は総じて北西部(グジャラート)と推定されること、②木綿地がいわゆる鬼手であること、③型染め(木版捺染?)主体であること、④茜染めは茶味の強い海老茶色・藍染めは色味の濃い暗色が基調・下染めは土色掛かった薄茶色であること、⑤トラジャ伝統建築や舟形棺の装飾に見られる渦巻・蔓葉状幾何学モチーフ・キンマ(蒟醤)の葉モチーフが主副の模様に配されていること等が共通点として挙げられます。

17世紀以降のオランダ東インド会社がトラジャ地方にもたらしたインド更紗では、経緯絣パトラの意匠様式の影響が見受けられるものが増えデザインは多様化、製作地については拠点(積出港)のインド南東部コロマンデルが中心となり、絵柄・染め色を併せ作品の雰囲気は大きく変わります。

本作品、下に掲載の「参考画像」の作品、いずれも単に古いということにとどまらない独特の原初性が感じられ、どこか神秘的な空気感が匂い立ちます。

(下は光学顕微鏡による画像)

(参考画像) 14-15c製作の同種のトラジャ渡りインド更紗

製作地 インド・グジャラート州
製作年代 1340年±40年(放射性炭素年代測定による)
Victoria and Albert Museum所蔵品

製作地 インド・グジャラート州
製作年代 1370±40年(放射性炭素年代測定による)
Victoria and Albert Museum所蔵品
※上画像はTHAMES AND HUDSON刊「WOVEN CARGOES」より転載いたしております

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