製作地 ペルシャ(イラン)
製作年代(推定) 19世紀前期
素材/技法 カシミヤ山羊、天然染料 / 地:2/2綾組織、文様:2/1及び1/2綾地緯紋織&縫取織
サイズ 横(緯)10cm、縦(経)13cm
蔓花連続模様の左右ボーダーに挟まれ、複雑に重なり合うボテ(ペイズリー)模様及び小花模様が多彩かつ精緻に織り表された19世紀前期(シク期)のカシミヤ・ショール部分裂。
オフホワイト糸の2/2綾組織を地に、文様は綾地の2/1及び1/2緯紋織(&縫取織)で構成されており、綴織技法が用いられていない点が本作品の最大の特徴、素材・技法・意匠を総合してインド・カシミールではなくペルシャ・ケルマン若しくはヤズドで製作されたものと推定できます。
大きな本体柄を有するショールの最端ボーダー、或いは同巾の段模様が色を変えて複数連なるストライプ柄”カートリーズ・ショール(khatreez shawl)”であった可能性が考えられ、巧緻な織りをミクロ面で観察・鑑賞する楽しさとともに作品の全体像を想像することにも愉しみを見い出せます。
荘厳かつミニアチュールな織りの世界観、二百年前後を遡る時代の特殊織物から薫る新鮮かつ濃密な色香と生命感に惹き込まれる一枚です。
(下は光学顕微鏡による画像)