



長崎の唐人紺屋で18c~19c初期に染められた、残存する長崎更紗の中で古作にあたるものですが、本布の最大の魅力は、これが(茶器と同様の意味で)茶の湯の裂地として育ち・世界にひとつの生命と美を現に宿している点にあると感じます。
蘇芳顔料の染め色は褪せ、長年の茶染みが加わり、あちこちに継ぎ・充て・縫いの補修が加えられていますが、いずれも作為のない好ましい表情で見飽きることがありません。
用いられている綿布は甘撚の太糸と強撚の細糸を経緯それぞれに意図的に交ぜた糸味豊かなもので(下の光学顕微鏡画像参照)、江戸期日本の数寄者向けのものとして、中国から長崎出島に舶載されたものである可能性が高いと考察されます。
それはともかくとして、唐子たちと諸模様の墨線が何とも柔らかく優美で目を愉しませてくれるものであり、この長崎更紗裂からは、和更紗がインド更紗への憧れとともに作られ始めた時代に職人たちが有していた熱量のようなものを感じ取ることができます。
本来大判の仕覆・外箱包み等であったものが、傷みを重ねるうちに小さな包み裂へと生まれ変わり、生命を繋いできたものがいまのこの姿と想像されます。


日本 江戸時代後期 長崎更紗 唐子遊び・蜀江模様 包み裂
製作地 日本 長崎
製作年代(推定) 江戸時代後期 18世紀後期 - 19世紀初期
素材/技法 木綿、天然顔料 / 型染、摺り込み、片面染め
サイズ 37cm×38.5cm





(下は光学顕微鏡による画像)



(online shop記載 コンディションについての参照画像)




