20c初 サダン・トラジャ カード織帯 カマンダン

製作地 インドネシア スラウェシ島 タナ・トラジャ
製作年代(推定) 20世紀初期
素材/技法 木綿、天然染料 / カード織 (ダブルフェイスト織、経捩織)
サイズ 幅:11cm(3枚接ぎ)、全長:186cm

トラジャの木造建築を装飾する彫刻模様がそのまま織物に写し取られたような表情の、このサダン・トラジャ人の手によるカード織(Tablet weaving)帯カマンダンは、祝祭儀礼用腰衣の裾部に付される目的で手掛けられたもので、現在も製作の伝統が続くママサ・トラジャとは異なり、20世紀初期には製作の伝統が途絶えたと考察される”失われし染織”となります。

”失われし染織”には、約百年前に製作の伝統が途絶えたことにプラスして、もはやトラジャ人自身を含め誰もこの素材と技術、同じ色柄表情のカード織作品を再現することは困難である、という要素が加わります。

3枚接ぎの幅11cmに100枚近い数のタブレット(水牛の骨角製)が駆使され、長さ186cmの一連の織物の中に”これでもか”と言わんばかりの様々なデザイン・パターンの大小モチーフが緻密に織り描かれており、トラジャ伝統信仰”アルクトドロ”に基づく精神性の密度の高さが伝わってまいります。

古い時代のサダン・トラジャ木綿染色を象徴するいろと言える”濃厚な赤茶”は染料・媒染の全容が未だ解明されておりませんが、百年を経過してなお色褪せが感じられず、瑞々しく力強い生命感を有していることは特筆すべき点、インド更紗等を聖布”Maa India”として崇める中、自身の手においても数世紀を経ても色褪せず朽ちない布、聖布”Maa Toraja”を志向した様子を、本織物から伺うことができます。

古のサダン・トラジャ染織の本質が凝縮した貴重資料としてのカマンダン完品です。

(下は光学顕微鏡による画像)

(参考画像) サダン・トラジャ伝統家屋の壁面彫刻

インドネシア スラウェシ島 タナ・トラジャにて

カテゴリー: 技巧・意匠・素材, 染織, 民族衣装 タグ: パーマリンク