17-18c 古渡インド更紗 格天井手

製作地 インド南東部 コロマンデル海岸エリア Coromandel coast
製作年代(推定) 17世紀-18世紀
渡来地・使用地 インドネシア スラウェシ島 トラジャ地方 ※スマトラ島経由でトラジャ地方にもたらされた可能性あり
素材/技法 木綿、天然染料 / 手描き(カラムカリ)、媒染、防染、両面染め
サイズ 102cm × 257cm

京都 西本願寺 南余間格天井
※上写真は西本願寺公式サイトより転載いたしております

安土桃山~江戸時代初中期を中心に、大名・富裕商人をはじめとする数寄者・茶人にもてはやされた古渡インド更紗のうち、格式ある寺院・城郭等の天井装飾とされた”格天井(ごうてんじょう)”に近似するデザインのものが”格天井手(ごうてんじょうで)”の呼称で愛玩・愛蔵された様子を、現在に伝わる布裂(茶の湯裂・裂帖等)により確認することができます。

そして同種デザインのインド更紗は、スマトラ島旧港市国家の諸地、本布の蒐集地であるスラウェシ島トラジャ地方、セイロン島(スリランカ)等にもたらされております。(染めとともに経緯絣が併用されるなど緻密で手の込んだ作例が多く見い出されている)

本布はスラウェシ島トラジャ地方に伝世したものですが、日本で”格天井手”とされたように、トラジャ地方においては”Passura’ Toraya(トラジャ伝統家屋壁面彫刻)文様”と認識されており、一族・家族の間で代々受け継がれる”聖布マア(Maa India)”のひとつとされていたものとなります。

ちなみに製作地インドの視点では、本更紗に見られる網目・モザイク様格子模様は、ムガル建築の装飾で著名な透かし彫り”ジャーリー(Jaali)”に帰属するというのが自然な見方であり、”生命樹・立木”模様の交易更紗と同様に、近世海洋交易の時代の染織・工藝にまつわる美的感受性(美の様式)の遍在・共振・交換(相互影響)に思いが至るデザイン・モチーフと言えます。

17世紀~18世紀作と比定される、同手模様更紗の中で古手と位置づけられる本布は、インド・コロマンデルにおいて高度な職人技術が維持されていた時代に手掛けられたもの、描線・色味に”古渡(こわたり)”たる格調・高雅を有しており、ほんの数cm角のどの部位をとっても濃密な美の生命・精神性が宿っている様を観取できます。

布を目にしながら、土地・時代を跨ぐ”共振する美の遺伝子”に想いを馳せることに、尽きせぬ魅力を感じる一枚です。

インドネシア スラウェシ島 ママサ・トラジャ 木造舟形家屋 壁面彫刻 Passura’ Toraya

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