崩れゆく仏塔内の指先に

ミャンマー シャン州 インレー湖エリアにて

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蘇芳染め 縫取織

ラオス フアパン県 サムタイにて

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プアン族 天然染色の色彩美

黒檀(Maklua)染めの黒色木綿を経糸に、蘇芳(Mai Fang)染めの桃・紅赤と藍染めの絹を緯糸に緯絣の技法でつくられたプアン族(Phuan)の筒型腰衣パー・シン。

プアン族の古手の天然染色による絣は一目でそれと判る”固有のいろ”があり、本作品はその典型とも言える個性的かつ瑞々しい”紫蘇赤”の色合いが印象的な一品です。

目に映るいろの全体像が、実際にはどのような糸の染め分け及び重ね染めのディテイルにより構成されているのか、上に掲載の光学顕微鏡の画像で確認することができます。

白絹を染める蘇芳は色の濃淡により桃・薄紅・紅赤、空藍染め絹を重ね染めする蘇芳は紫・赤紫・臙脂の色を呈し、経の黒木綿と交り合う中で複雑ないろの視覚効果を演出しています。

蘇芳で染めた桃色掛かった橙色の木綿糸で織った腰布、白木綿の経浮紋織で立体的な表情を加えた裾布、紫蘇赤を基調色とする絣本体の3パーツの調和は見事で、目にしていると気持ちが穏やかに整ってくるような染色・織物作品です。

製作地 タイ東北部 イサーン地方
製作年代(推定) 20世紀半ば
民族名 タイ・プアン族 Tai Phuan
素材/技法 絹、木綿、天然染料 / 平地交織、緯絣、経浮紋織(裾布)
サイズ 全巾(経)152-156cm(筒状縫製)、全丈(緯)79cm(腰布部:7cm、裾布部:13cm)

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ガンダーラ地方 古都の気

パキスタン カイバル・パクトゥンクワ州 ペシャワールにて

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ガンダーラ 3-4c ストゥッコ 菩薩頭部像

製作地 ガンダーラ地方 現パキスタン サハリ・バハロール Sahri-Bahlol
製作年代(推定) 3-4世紀
素材/技法 ストゥッコ(化粧漆喰)、顔料 / 塑像、彩色
サイズ 高さ約12cm 幅約9cm 奥行約8cm 台(スタンド)を含む高さ約22cm

端正な顔立ちに目と心を惹かれる、ストゥッコ(化粧漆喰)製のガンダーラ仏頭像。

アフガニスタン・ハッダ遺跡発掘品に顕著な面長な顔ではなく丸みの強い幼顔で、パキスタン・ペシャワール博物館に近しい顔相の収蔵品を確認することができます。

後頭部は奥行があり波状頭髪はボリューム感をもって作り込まれており、浅いレリーフで表現された供養者群像ではなく、菩薩像であった可能性が高いものと考察されます。

鼻から頬にかけて後年のパテ直しは見られるものの、発掘時のままの自然なパティナが損なわれることなく付着し一部製作時の顔料彩色も残っており、作為の無いオリジナルの表情・空気感とそこから発せられる深い精神性を愉しむことができます。

何と言っても優美で見飽きることが無いという点で、秀でた魅力が実感される一品です。

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甍と藍の村(3) 黎平・肇興

中国 貴州省 黎平県肇興鎮にて

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甍と藍の村(2) 黎平・肇興

中国 貴州省 黎平県肇興鎮にて

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甍と藍の村(1) 黎平・肇興

中国 貴州省 黎平県肇興鎮にて

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18c 玉子色縮緬 帽子絞り&友禅染め 奉納着物裂

製作地 日本 京都
製作年代(推定) 18世紀 江戸時代中期
素材/技法 絹、天然染料 / 二越ちりめん、帽子絞り染め、友禅描き染め
サイズ 身巾60cm、前身頃丈80cm、後身頃丈78cm

中世”辻が花染”の残り香が匂い立つ帽子絞りの雲状模様と染め抜き丸紋、玉子色地の薄手縮緬上に友禅描き染めによる静淑な筆致で散りばめられた草花蝶蜻蛉たち... 和様古格と気品に満ち満ちた18世紀の単衣着物身頃裂です。

この着物から格別の気品が薫ってくるのは、極めて繊細な手引き絹を素材に撚り・織られた固有の透明感と柔らか味を有する二越ちりめん(光学顕微鏡画像参照)、上質な紅花と紫根で染められた雅な京染めのいろ、単なる模様ではない一葉一弁に生命が吹き込まれた友禅絵付けにあり、江戸中期の時代精神・物語性をたっぷりと味わうことができます。

2百数十~3百年もの時が経過しながらも、ここまで糸・布・色の状態が保たれているのは、これが寺社に奉納されたまま長く大切に保管されてきたためと考察されます。

彼の時代と繋がることができる、タイムカプセルから現れ出でたような着物裂です。

(下は光学顕微鏡による画像)

(online shop記載 コンディションについての参照画像)

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日々の生活の橋 アマラプラ

ミャンマー マンダレー地方域 アマラプラにて

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カンボジア アプサラ(天女)模様 絹絵絣腰衣

製作地 カンボジア南部
製作年代(推定) 20世紀前期 1930-50年
素材/技法 絹(カンボウジュ種)、天然染料 / 綾地(三枚綾) 緯絣
サイズ 幅(緯)80cm、全長(経)171cm

一見すると現在お土産用につくられている絣にありそうなモチーフ構成ですが、実際には70-100年を遡る時代に実用の腰衣サンポットとして手掛けられ使用された正真の準アンティーク作品です。

大柄かつ同模様が繰り返される単純構成であること、アプサラ(天女)のデザインが可愛らしいことから、幼い女の子のためにつくられた、或いは絣織物手習い中の若年女性が母親やおばあちゃんの手ほどきにより製作したものとも推察することができます。

拡大画像・顕微鏡画像から判る通り、極めて上質なカンボウジュ種絹糸と天然染料が用いられており、この絹織物のしっとりとした滑らかな質感と絣の鮮やかさと落ち着きを兼ね備えた色味は現在では再現することの出来ないものとなります。

”紅・赤・臙脂・紫”と繊細に染め分けられたいろの完成度は高く、微妙に色濃淡・グラデーションの加わった”緑”には吸い込まれるような美しさが感じられる... 信仰の精神性が顕れていることも併せて何とも妖艶かつ可憐で、世界にひとつの表情・雰囲気を湛える一枚です。

(下は光学顕微鏡による画像)

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海から遠い街の冬の空 ホラズム・ヒヴァ

ウズベキスタン ホラズム州 ヒヴァにて

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パレンバン 絹絞り染め トゥンガハン&クリス模様 胸布

製作地 インドネシア スマトラ島 パレンバン
製作年代(推定) 19世紀末~20世紀初期
素材/技法 絹、染料 / 平織、縫い締め絞り、巻き締め絞り、描き染め、マクラメ
サイズ 幅58cm、全長185cm(フリンジ部分除く)

巻き締めと縫い締めの技術が併用された、スマトラ島パレンバン伝統の絹絞り染め布”プランギ(pelangi)”。

本品は盛装時の胸布・胴飾り帯を用途として100年以上前に手掛けられたもので、残存するプランギの中では相当古手のもの、絞り模様の緻密さ・染め色の深く落ち着いた色味・絹布の上質さに時代が表われており、取り分け巧緻な手わざで染め描かれた中央部の菱状トゥンガハン(tunggahan)模様とその中に散りばめられた聖剣クリス (keris)模様の表情の豊かさに魅了されます。

縫い締めのステッチは部位・モチーフによって間隔・目の大きさが巧みに変えられており、巻き締めと描き染め及びマクラメ・フリンジの手仕事の繊細さを交え、布全体に得も言われる瀟洒な味わい・気品が感じられます。

プランギの多くは肩掛けとして伝わっており、このデザイン様式の胸布・胴飾り帯は目にする機会の限られる稀少なもの、いち作品としての完成度も高く、貴重な染織資料と位置づけられます。

(下は光学顕微鏡による画像)

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新しい年の平安を祈って

ミャンマー シャン州 インレー湖エリアにて

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樹の上,樹の下 フアパン・サムタイ

ラオス フアパン県 サムタイにて

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19cジャンビ向け 茜地花樹模様更紗肩掛

製作地 インドネシア ジャワ島北岸 (推定)プカロンガン-ラスム
渡来地・使用地 インドネシア スマトラ島 ジャンビ
製作年代(推定) 19世紀後期
素材/技法 木綿、天然染料 / 手描き蝋防染、手描き媒染、藍浸染&描き染め、両面染め
サイズ 幅84cm、全長196cm

鮮やかさと深みを兼ね備えた固有のいろに目と心を奪われる、19c後期のジャワ更紗。

この海老茶掛かった独特の茜染めの赤は、渡り先のスマトラ島ジャンビの人々の好みに合わせ高度な媒染技術により染められたもので、ジャワ島北岸の地プカロンガンで製作され、茜染めは専有技術のあるラスムでなされたと考察されます。

エンドボーダーの櫛状模様は織物のフリンジを見立てたもの、これが肩掛スレンダンであることを示しますが、この広巾・多重ボーダー柄のデザイン様式もジャンビ好みのいち要素として挙げることができます。

光学顕微鏡画像で確認できるように木綿糸の太さ・撚り表情は様々で、この質感ある木綿地が染め表情の豊かさに反映していることは明らか、手描きの防染線描と藍描き染めの流麗な表情、木綿下染めの色合いを併せ、インド更紗の影響が色濃い時代の一枚です。

なお、インド更紗は多様な媒染技術を駆使する木綿染物で防染を行うことを前提としていない(実際防染は行っていない作品も多い)ことに対し、ジャワ更紗(バティック)は蝋防染を行うことが技術的前提であるという点で異なる性格を有する染色作品となります。

(下は光学顕微鏡による画像)

(online shop記載 コンディションについての参照画像)

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ジャンビ向け茜更紗のいろと染め表情

海老茶掛かった色調の茜赤、暗色の濃藍、一見して”ジャンビ(Jambi)”好みの染色のいろが実感される19cのジャワ更紗。

この当時ジャンビやパレンバンはオランダ植民地下にあっても港市国家として交易の主体性が保たれており、ジャワ北岸では交易品としてスマトラ港市国家それぞれの好みに従った更紗の製作が行われておりました。

肩掛として製作された本布の茜地部分は白抜きする箇所に手描きで蝋を置いて媒染剤が塗られ、ボーダーの白地部分は逆に媒染剤を手描きして茜赤を発色させる手法が取られており、木綿の下染めと藍の描き染めを併せ、20世紀に入ってからの化学染料・合成媒染剤の流通とともに隆盛化する今日的なバティックとは異なり、インド更紗直系の素材・技法により手掛けられた作品であることが判ります。

この更紗はジャワ島北岸”プカロンガン-ラスム”の作と推定されますが、同地同時代のスマトラ島パレンバン向けの交易更紗では茜染めの色調はより明彩度の高い赤であり、つまり使用地の好みに従い見事に茜赤のいろを染め分けていた、茜媒染の知識・技術が高度に成熟したものであった様子が伺われます。

製作から既に150年前後を経過している”いろ”ですが、この高度な媒染染めによる茜赤はインド更紗と同様、このあと数百年は”いろ”の生命を保ち続けるものと思われます。

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タケオ ナーガ模様 仏教儀礼用絹絣ピダン

製作地 カンボジア南部 タケオ
製作年代(推定) 19世紀後期
素材/技法 絹(カンボウジュ種)、天然染料 / 綾地(三枚綾) 緯絣
サイズ 幅(緯)90cm、全長(経)307cm

デザイン様式と布縁4辺に施されたパイピングから、仏教寺院内で天蓋装飾・光背掛け布”ピダン(Pidan)”として用いられたと考察される3mサイズのクメール絹絣。

仏法を守護する蛇龍神”ナーガ”が布全面にびっしりと描き込まれたもので、山道模様全体がナーガであるとともに、そこから伸びる枝状モチーフ及び突起ひとつひとつがナーガの頭・顔である、つまり無数のナーガが極細密な括り・染め・織りで表現された、完成度が高くかつ宗教儀礼用布たる並々ならぬ存在感を湛える一枚です。

下の光学顕微鏡画像で確認できるように経糸はラック染めの赤・紅ですが、色は一様ではなく濃淡が加わっており、これは19cタケオ作ピダンの典型様式と言えるもの(本布の補修充て布で用いられている赤・藍2色の経糸構成も同様)、この繊細な色変化が作品全体に複雑な視覚効果と荘厳美を生み出していることが判ります。

長い年月にわたり寺院でピダンとして用いられたものと思われ、使用で生じた裂けや穴を別布で繕った痕がありますが、寺院内で行われた補修と布自体が貴重な資料と言えるもの、むしろマスターピースのピダンとしての格調を高めているようにも感じられます。

19cカンボウジュ種蚕繭(黄金繭)絹の糸・布のたおやかな質感、落ち着きと深みのある染色のいろ、緻密でありながら硬さの無い絣の描線と色の際、いずれも現在では再現できない失われしものであり、時代に固有の色香に惹き込まれる一枚です。

(下は光学顕微鏡による画像)

(online shop記載 コンディションについての参照画像)

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カンボウジュ種蚕 黄金繭

カンボジア シェムリアップにて

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