







ミャンマー シャン州 インレー湖エリアにて

antiques AEO LIFE MARKET <アンティーク染織・古裂・骨董 イオ・ライフ・マーケット>
online shop 新サイトがオープンしました
アンティーク染織・古裂・骨董 イオ・ライフ・マーケット online shop


嗜好品”キンマ(betel)”に用いる”石灰(lime)”を納める容器としての陶磁器・金属器・漆器は、東南アジアの美術工藝における重要アイテムで、クメール(アンコール)王朝においては壺形の施釉陶器、取り分け動物を象ったものに個性ある優品が見られます。
仏教・ヒンドゥー教の神獣であり、生活・労働のみならず軍事に利用される王権の象徴としての”象”は、身近な動物であるとともに畏怖すべき信仰の対象であった様子が伺えます。
現在に伝わるlime jarとしてのクメール陶器象形壺の多くは”ろくろ成形”で作られており、本品のような”手びねり成形”かつ具象性の高いつくりのもの(更に本品はサイズが大きい)は残存する割合が少なく、これは実際に製作数が少なかったことにプラスして、ろくろ成形のボウル型に比較すると圧倒的に壊れやすく、発掘されるまでの数世紀の土中経年の中で完品は僅かしか残らなかったであろう事実を指摘することができます。
本品は上記のような背景や解説を抜いても(知らなくても)、いち象形陶器として造形が何とも優美で”釉とカセ”の生み出す表情が妖艶で蠱惑的であり、全体及び細部、どの方向から眼にしても美の宿る、そして世界にひとつのみの表情を有する名品と言えます。
製作当初は例えば貴人・王族が乗る輿(ハウダ)等の具象物を象った装飾的な蓋があったものと想像されますが、この壺本体のみでも壊れずにこの姿で伝わった(象牙先のみ欠損痕あり)ことは奇跡であり、ここに目にし手にできる幸運に感謝をしたくなります。


カンボジア クメール王朝期 黒褐釉象形壺
製作地(推定) カンボジア アンコール地域
製作年代(推定) 11-13世紀 クメール王朝期
種類 施釉陶器
サイズ 全長約24cm 高さ約13.5cm 身幅約8.5cm、重さ約1.2kg












ミャンマー マンダレー地方域 バガン近郊にて




ミャンマー マンダレー地方域 バガン近郊にて


貝多羅葉(椰子の葉)を材とする通常の経典写本とは異なる、仏教寺院への寄進を通じて功徳を積むことを目的に象牙・チーク材・漆・金等の高級材料をもとに多額の私財を投じて作られた工藝経典”カンマヴァーチャー(kammavaca)”を巻き綴じる帯紐として、同じく高額な費用でオーダーメイドされた細密文字・模様織りの”サジギョー(sazigyo)”。
この”カード織り(tablet weaving)”による帯紐サジギョーは、約50年前の1970年代初めに織られたものを最後に製作の伝統が途絶えたとされており、本品はそれを遡る19c末~20c初期に当時の最高峰ランクの技術で生み出されたものとなります(汎用品から本品のようなオーダーメイドの上等品まで価格に応じて様々なランクのものが作られました)。
手紡ぎ木綿を素材とする7色もの色数の染め糸により、僅か1.2cmの織り巾の中にビルマ語の装飾文字(内容は経典寄進の経緯や願掛け)とビルマ占星術(八曜日)の守護動物及び仏教に縁のモチーフが絵模様として緻密かつ流麗に織り表されており、今では同じ素材遣い・織り表情では誰にも再現することのできない失われし技巧の染織です。
マンダレー管区バガン地域では、個人の財により建立・寄進された仏塔・僧院が平原上に数千もの数で立ち並びますが、ビルマ上座部仏教では個人が過剰なほどに私財を投げ打つことで”功徳を積む”という宗教的熱狂期が時代を跨ぎ何度か訪れており、19c後~20c初の”マンダレー様式”の仏教工藝とは、コンバウン朝が英国に倒され植民地化が進む過程でナショナリズム的な民衆仏教が興隆する中で育まれた熱狂期の所産と言えるもの、豪奢な経典及び高度な手技と手間暇がかけられた経典綴じ帯紐はその内に含まれます。
金彩のカンマヴァーチャー(下掲載画像参照)を巻き飾るため翡翠とルビーの宝石色で仕立てたと思われる本サジギョーは、寄進後寺院で大切に保管されることで製作時の美しい姿で伝世したと考察されるもの、傑出した出来と優れたコンディションの一品です。

ミャンマー マンダレー様式 カード織 寄進経典綴じ帯紐サジギョー
製作地 ミャンマー マンダレー
製作年代(推定) 19世紀末 - 20世紀初期
素材/技法 木綿、染料 / カード織り(タブレット織り) ダブルフェイスト
サイズ 幅(緯)1.2cm、全長(経)約460cm






(下は光学顕微鏡による画像)



(参考画像)20c初期に製作されたカンマヴァーチャー (スミソニアン国立アジア美術館所蔵品)

(参考画像)個人の財により建立・寄進された仏塔が平原上に無数に立ち並ぶバガンの光景


ミャンマー マンダレー地方域バガンにて